左利きは、10人に1人の変わり者?いや、選ばれし存在!脳内科医である著者が、タイトル通り左利きのすごいポイントを脳科学の視点で語ります。
左利きの脳の使い方は
- 直感
- 独創
- 思考
に優れているといいます。それぞれの力を伸ばすトレーニング方法にも触れています。
タイトル | 1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法 |
著者 | 加藤俊徳 |
発売日 | 2021/9/29 |
「すごい左利き」概要
人間の脳には右脳と左脳があって、
- 右手を動かすときは左脳
- 左手を動かすときは右脳
をそれぞれ使っています。なんとなく知っている人も多いのではないでしょうか。
左脳と右脳は、それぞれ違う働きをしています。
- 左脳…言語(計算、分析など)
- 右脳…非言語(画像、空間認識など)
左利きの場合、左を動かすときに使う右脳が発達しているということになります。
「すごい左利き」は、脳の使い方の視点から左利きの特徴とそのすごさを語っていく本です。
左利きと右利きで違う「脳の使い方」
左利きは、右利きと比べて脳の左右差が少ないんだそう。
例えば、「文字を書く」行為では多くの左利きの場合、
- 左脳で言語処理
- 右脳で左手の運動
をするため左右の脳を使います。
また基本的に右利き優先の社会では、左利きといっても右手を使うことも多く、左利きは両脳を刺激する機会に溢れています。
そんな脳の使い方をしている左利きのすごさを、3つのポイントで示しています。
- 直感
- 独創
- ワンクッション思考
ひとつずつ見ていきましょう。
①直感
私は、「直感」とは意識では覚えていない膨大な情報を蓄えている脳のデータベースから、精度が高く、より正確な情報を選択して導き出された結果だと考えています。
「すごい左利き」第1章○「直感」がすごい より
(中略)
つまり、右脳は、視覚や五感をフルに活用した、言語以外のあらゆる情報を無意識のうちに蓄積している巨大なデータベースです。
本では「無意識的思考」の理論に触れ、直感に従うほうが物事の核心に触れられると主張します。
サッカーの試合結果予想をする際、最終的な判断の前に
- 2分間の熟考時間を与えられたグループ
- 試合に関係ない課題で意識をそらせたグループ
→後者の「別のことで意識を反らせたグループ」のほうがより正確な結果予想をした。
直感というと、一気にスピリチュアルな感じになってしまいますが、「これまでの体験や知識の無意識のアウトプット」と言い換えると、腑に落ちる気がします。
左利きは、普段から左手を動かす。つまり、右脳を常に刺激しているから言語以外の情報を無意識に受け取っている。
だから、直感が優れている。というわけです。
また、「直感を鍛える方法」として以下のステップが紹介されています。
直感を鍛える方法
- 直感(突如浮かんだ「◯◯したい」という感情)を拾いあげる
- 浮かんだことをメモする
- できることから実践し、直感を検証する
こちらも筆者の体験が一緒に書かれていますが、ぶっちゃけここまで来ると「左利き」だからというのを外れている気がしてきてしまいました。
例えば、「早生まれは身体的や学力で不利になりやすい」というのはよく聞く話ですが、全員があてはまるわけではないですよね。
確かに自分の経験としても、なんでかわからないけどパッと後ろを振り返ったら「サプライズの誕生日プレゼントを見つけてしまった」といったことがありました。
これは直感?シックスセンス?いや、私が左利きだから!
…とは思えないなぁ。あくまで個人の感想です。
②独創
左利きは、人生のあらゆる場面で「みんなと違う自分」はなぜなのか、そして、どうすればまわりと同じようにできつのか、様々な視点で考え抜いています。
「すごい左利き」第2章○「独創性」がすごい より
(中略)
そのため、右利きに比べて一つのことに対して考える時間が圧倒的に長く、そのぶん情報量も増大します。
そうして左利きは、独自の発想を生み出していくのです。
お箸の持ち方からバットの振り方など、何かを教えてもらう場面ってよくありますよね。左利きは、右利きを見て真似をする場面が多いので、どうしても注意深く見ないといけません。
「どうやれば、右利きの人と同じようにできるだろう?」
右利きのしぐさを左利き用に補完する力が、独創性の種になるそう。
読んでいて共感したのが、右脳が「イメージ保存」に優れるという点です。確かに学生のころ、テスト中に
この単語、ノートの真ん中の当たりに書いてあったな。
という思い出し方をしてました。これ、左利き特有なんですかね?!
また、右脳のイメージ情報を言語化して左脳に移すことで、膨大なイメージデータを活用できるようになるんだとか。
「書く」というアウトプット方法が記憶力や達成度などにおいて優れていることはいろんなビジネス書に書かれています。脳の刺激になるからということなんでしょうか。
ともかく利き手とか関係なしに、書くって大切だなと思いました。
③ワンクッション思考
ワンクッション思考とは「右脳と左脳を頻繁に行き来する脳の使い方」を指しています。
言語情報が飛び交う現代社会で、言語をつかさどる左脳と、左手を動かす右脳を同時に刺激する左利きは脳を活性化させやすいという主張です。
「両方の脳を使っている」と聞くと、天才チックに聞こえます。
ところが実際の場面では、
考えをまとめて、言葉を発する
このときに左右の脳の行き来によるひと手間が発生します。
そうすると「ワンテンポ遅い」と思われてしまうそう。どこが天才なのか!(泣)
私自身はもういい歳なので、言葉がすぐに出ないことはもちろんあります。でも筆者の言う「ワンテンポ遅い」はそういうことじゃないんだろうと思うので、(汗)こちらのテンポについてはあまりピンときませんでした。
左利きの子どもを持つ親御さんだと思い当たることがあるんでしょうか。
このワンクッション思考の時間を短くするための方法として
見て、マネする
のが良いということです。視覚情報には左利きでも瞬時対応できるのだとか。
また「見て、マネする」の代表格、習い事についても触れていました。
左利きにおすすめの習い事は、皆が両手を同時に使うもの(ピアノ、笛など)
触れてはいませんでしたが、水泳なんかも良いんじゃないかと思いました。
個人の経験でいうとそろばんを習っていた事があったんですが、そろばんは絶対右で弾かないとダメと言われ、苦労した記憶があります。(単純に算数が苦手だったという説も。)
「すごい左利き」まとめ
著者が本の中でずっと言っているのは、
右利きと左利きは脳の使い方が違う
情報のインプット方法が違うんだから、アウトプットも違って当然。気にすることはないし、脳の使い方の特徴を理解して効果的に伸ばしていれば、自分みたいにすごいことになるよ!
という感じです。
脳の発達のメカニズムにも触れているので、小さい左利きの子どもを持つ親御さんは励まされるような内容が多いと思います。
- 脳は聞き手に関係なく、まず右脳から発達していく。そのあと言葉を覚えてくると言語をつかさどる左脳が成長していく
- 右利きは普段から左脳を使っているため、左脳成長させるスイッチに切り替えやすいが、左利きは右脳をずっと使ってきたため左脳の成長時期が遅れやすい
お子さんの発達に対して、
うちの子は大丈夫だろうか…
とナーバスになるのではなく、
脳をいっぱい使っているんだな!
あたたかく見守ってあげてね、ということです。
作者はすごい左利き
筆者が「左利きは大器晩成型」と言うように、最初は言葉の発達が遅いかもしれないけど、脳の使い方次第ではすごい力になり得る。そう思えば、「左利き、いいじゃん。」と思えてきます。
ですが、筆者の体験から基づく主張や考えには「これは、あなたがすごいだけでは?」と思ってしまうポイントも個人的には結構ありました。私がもうすさんだ大人だから?
3つのすごいポイントを伸ばすためのトレーニングについても各章ごとに触れていますが、
- 本を逆から読んでみる
- 夢分析をしてみる
のようにストレートに「よし、やってみよう!」とは思えないものもあったりします。
とはいえ、
左利きは左右の脳を同時に使っていて、ひらめきや発想力に優れている
なんて言われたら誇らしい気分になりますし、
脳の使い方の特徴を意識するだけでも、パフォーマンスは変わってくるのだと思います。筋トレするときは使う筋肉を意識する、というのと同じ考え方です。
そういう意味では、頭の片隅で読んだことを覚えておくだけでも意味はあるのかな、なんて思いました。
あと、「右手を左脳」「左手を右脳」「右利き」「左利き」・・・・と、とにかく右と左がたくさん出てくるので、読んでるとたまに訳が分からなくなります(笑)これは多分、いまだに左右がとっさに出てこない自分のせいかもしれません。
すぐに右とか左が分からないのって左利きの特徴だと思ってたんですが、違うのかしら。共感されたことはまだ一度もないです。
大切な人が左利きなら一読したい
この本を読むべき人は、
- 左利きの子を持つ親
- 左利きの人(若ければなおいい)
です。
自分含め、子ども、パートナー、教え子、友達…。身近な存在に左利きの人がいるのであれば、一読してもいいかなと思います。
「こういうことだったのか!」
という発見があるかもしれません。そして左利きの人は、この脳の使い方を意識すれば、より脳が活性化するかも。
それではまた!!
コメント